「なんで数学なのに\(x\)とか\(y\)とかいう文字が出てくるんだよ!!!」と、疑問に思ってしまいますよね。
今回は、そのような疑問をなるべく解消できるような記事を目指しました。
ぜひご一読ください。
文字への置き換え
このような例を考えてみましょう。
1個30円のチョコレートを5個買いました。このとき代金は、\(30 \times 5 \)(円)かかります。
チョコレートを5人分買えばよいと分かっている場合は、上のように計算すればよいですよね。
しかし、「何個買えばいいか分からない」という場合もあるでしょう。
例えば、お菓子パーティーの参加人数が確定していないからチョコレートが何人分あればよいか分からない、なんてこともあるかもしれません。
このような場合は個数を空欄(□)として、
1個30円のチョコレートを□個買いました。このとき代金は、\(30 \times\)□(円)かかります。
のように表せます。
しかし、個数が分からないときに空欄(□)にするのは少し安直で「ダサい」ように思えます。
そこで、□を文字$x$で置き換えてみましょう。
1個30円のチョコレートを\(x\)個買いました。このとき代金は、\(30 \times x \)(円)かかります。
このようにすると、かなり「かっこいい」感じがしますね。
□や〇\(,\triangle\)などの代わりに、\(x,y,z,a,b,c,\cdots\)のような文字を使って表すことが出来る。
文字を使う利点
文字を使って式を表すのには、「かっこいい」以外の利点もあります!
例えば、□や\(\triangle\)のような記号を順番に使っていくとして、数種類くらいでネタが尽きてしまいます。
しかし文字であれば、\(a\)から\(z\)までの26種類を使うことができます。
また、□の代わりに文字を使うことで、そこに入る数の意味が分かりやすくなります。
例えば、線の長さを\(l\) (“length”の頭文字)、円の半径を\(r\) (“radius”の頭文字)、体積は\(V\) (“volume”の頭文字)のように表すと、文字の意味が生き生きとしてきますね。
「かけ算・わり算記号の省略」でもっと簡潔に
文字を使った式からかけ算・わり算記号を省略して、さらに「かっこよく」表してみましょう。
ルール1: かけ算記号の省略
【例】
(1)\(30 \times x\)
(2)\(x \times y\)
(3)\(-3 \times a\times b\times c\)
(4)\(30\times 40\)
(1)\(30x\)
(2)\(xy\)
(3)\(-3abc\)
(4)\(30\times 40\)(省略しない)
「数字\(\times\)文字」「文字\(\times\)文字」の場合は、かけ算を省略して表します。
「数字\(\times\)数字」の場合は省略しません。\(30\times 40\)を\(30\;40\)としてしまうと、\(30\)と\(40\)のかけ算を表しているのか\(3040\)という数字を表しているのか分からなくなってしまいます。
ルール2: 数字が先、文字は後
【例】
1個\(x\)円のチョコレートを\(7\)個買ったときの代金を、文字を使った式で表しなさい。
\(7x\)(円)
「(代金)=(金額)\(\times\)(個数)」ですから、\(x\times 7\)(円)と表されます。この式のかけ算を省略して\(x7\)(円)と表したくなりますが、これは間違いです。
中学以降の数学では、「式の意味に合わせたかけ算の順序」よりも「数字が先、文字が後」ルールが優先されます。したがって、\(7x\)(円)と書きましょう。
ルール3: 同じ文字のかけ算(累乗の計算)
【例】
(1)\(a \times a \times a\)
(2)\(x\times x \times (-6)\)
(3)\(x \times y \times x \times y\)
(1)\(a^3\)
(2)\(-6x^2\)
(3)\(x^2y^2\)
同じ文字のかけ算は、指数を使って表します。
ルール4: わり算記号の省略
【例】
(1)\(x \div 10\)
(2)\(y \div (-5)\)
(3)\(5 \times a \div b\)
(4)\(2 \times a \div b \times c \div d\)
(1)\(\displaystyle \frac{x}{10}\)
(2)\(\displaystyle -\frac{y}{5}\)
(3)\(\displaystyle \frac{5a}{b}\)
(4)\(\displaystyle \frac{2ac}{bd}\)
わり算は分数で表すようにします。
また、原則としてマイナス(\(-\))は分数の前に出します。
ルール5: \(1\)の省略
【例】
(1)\(x \times 1\)
(2)\(-1 \times y\)
(3)\( a \div (-1)\)
(1)\(x\)
(2)\(-y\)
(3)\(-a\)
\(1x\)や\(-1y\)のように表したくなりますが、\(1\)を書かなくても伝わるため省略します。
- かけ算記号の省略
- 数字が先、文字が後
- 同じ文字のかけ算(累乗の計算)は指数を使う
- わり算は分数で表す
- \(1\)は省略する
まとめ
文字を使った式がたくさん出てくるのが、中学数学の特徴の一つです。
今回示したルールをただ覚えるだけでなく、手を動かして問題を解いて慣れていきましょう。
また、これらの式を実際に計算する方法は次回の記事で紹介します。